デジタルサウンドインタビュー ―難波研 第1回―

今回の「デジタルサウンドシンポジウム@浜松」第2部クリエイターズミーティングでご登壇いただく現代音楽作曲家の難波研さんにインタビューさせていただきました。難波さんは浜松ご出身なので、ご自身の音楽のところから、浜松という場について、色々お聞きしました。


第1回 ―創作活動と、心象風景としての浜松―


―あ、松本生徒会長可愛いですよね!
(難波さんのスカイプのアイコンは「ゆるゆり」の生徒会長、松本りせ)

難波さん:かわいいですねw

―見つけたとき、驚きましたw

難波さん:好みがすべてそろってるんですよ、黒髪ぱっつん、不思議、眠そう。

―声が小さすぎですけどねw 頑張って聴こうとテレビのボリュームと格闘しました

難波さん:想像で補完するのがロマンですw

―素敵!紳士ですね!

難波さん:浜松出身ですからね!!

―おぉ!さすが!じゃあそこから聞きたいと思います。浜松出身って難波さんの活動においてやっぱり意味のあることですか?

難波さん:自分の出身地は、自分の作る音楽に大きく影響すると思います。

―例えばどんな時に意識されたりします?

難波さん:主に、テンポ感ですね。

―もう少し詳しく聞いてもいいですか?

難波さん:都会の生まれの人の作る曲は、息が短い気がします。なんというか、先を急ぐ感じに聞こえます。歌があまりなく、言葉を詰め込む感じが強くしますね。

―早口な感じですかね?

難波さん:というより、言葉の意味を無視した感じがしちゃうんですよね。音楽って言うのは、それがどんな形であれ「歌」が必要だと思うんです。歌を大事にして何かを伝えるには、ある程度の間が必要になります。つまり、休符を書くという作業が必要なわけです。その休符が、都会の人、または都会に憧れている人の曲は短いし、下手したら考えられた休符が無いこともあります。
 浜松は、非常にゆったりとした時間の流れる町ですので、そこで育った私は時間の感覚がゆっくりなので、そういう間について、深く考えられるようになったと感じてます。私の生楽器のみの作品や電子音楽には拍子という概念が無くて、流れてゆく時間の中に、音を配置しながら歌をつむいでゆくという形が多いのですが、それはその影響だと思います。

―僕は浜松に来て5年目ですが、ここはとても豊かなところだと感じてます。人も穏やかですし、あと1日が長い感じがします。

難波さん:そうなんですよね。人の歩くスピードもゆっくりですし、時間の流れが凄くゆっくりです。それは、芸術が豊かに発展している街に大事な要素です。 例えば、ウイーン。ウイーンは、時間の流れが凄くゆっくりで、だからこそ長い尺の音楽が受容される土壌があるのだと思いました。 皆、急いでいないから、ゆっくり音を楽しむわけです。 これは、とても大切なことです。
 日本では、消費される音楽が多くなってしまっている。 多くの便利な楽器やソフトのおかげで誰でも簡単に音楽らしきものをつくれるようにはなったのですが、音を吟味していないから、味わいが無いのです。つまり、結局自己満足に陥っているわけですね。打ち込んで音が出ればそれでいい、というような。
 たった一つでも意味のない音があったら、それは作品とは呼べないと私は思います。しっかりと、じっくりと音を吟味して、選び抜き、しっかりと意味を持たせないと聴いた人になにかを伝えられません。 そうやって、音を聞き込む時間は重要です。浜松では、ゆっくり音や自然と向き合うことが出来たので、そういう部分に気づけたのだと思っています。

―なるほど。音楽に対する難波さんの向き合い方がわかりました。

難波さん:僕にとって、作曲とは音と向き合い、そこに世界を見出すということです。その世界の形によって、色んなタイプの曲を書いています。

―何曲か聞かせていただいたのですが、同じ方が作ってるっていのが意外に思えました。

難波さん:よく言われますww でも、全部僕なんです。音で何かを伝えることが、僕の仕事ですから。


難波 研 (作曲家) @kennamba http://soundcloud.com/ken-namba
1983年静岡県浜松市生まれ。作曲、音楽理論、日本伝統音楽、指揮、ピアノ、ハープシコード、サキソフォン等を学ぶ。1998年に「静岡の名手達」に選出され、以後国内に於いて著名な演奏家・団体によって作品が演奏されている他、海外に於いても作品が紹介されている。イタリア文化会館東京作曲コンクール第1位(2008/東京)、武満徹作曲賞第2位(2010) INTERNATIONAL COMPOSITION COMPETITION IIC MELBOURNE 2010 "UNIQUE FORMS OF CONTINUITY IN SPACE" (2010/オーストラリア・メルボルン) "JAPAN 2011"(2011/イタリア・ウディーネ)等、国内外のコンクールにおいて様々な賞を受賞する。近年は現代アート界との結びつきも強く、シュヴァンクマイエルトリビュート展への音楽の提供、写真家の小野塚映像作家の寺嶋真里、暗黒朗読俳優の常川博行、イラストレーターの今井キラらとコラボレーションを行う等ユニークな活動を展開中。ライトノベルからインスピレーションを受けた作品を多数発表する等、日本のカウンターカルチャーへの造詣が深い。新作舞台音楽作品(Music theater)を2012年に初演予定。



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