デジタルサウンドインタビュー ―Otomonia 最終回―

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前回お話しいただいた、otomaniaさんの活動とスタイルのお話から続きます。いよいよotomaniaさんのインタビューは最終回。感動のラストに泣いてください!


第3回 ―クリエイター、音マニア、音楽で繋がる「みんなの手」―

―そこちょっと聞きたいんですけど、この前のミクパでショックだったのが、ボカロPへの歓声がなかったことなんです。たかPのインタビューでは、しょうがないって言われたんですけど、今って、クリエイターにとって快適な状況なんですかね?

Otomaniaさん: 結論から言うと、ケースバイケースかなと思います。今はボカロを通じて名を馳せようとされてらっしゃる方も少なくないと聞きますが、群雄割拠とも言えるクリエイター人口、そしてボカロというキャラクター性が前にもまして全面に出てきている。そういった状況を見るかぎり、そういった人たちにとっては厳しいと思いますね。
 ただ、ボクみたいにそういったことあまり考えずマイペースにほいほいやっている人間にとっては、多少やりにくさはあってもあまり痛手ではないですね。先ほどの話にも繋がりますが好き勝手やりたいときにはかえって名前が足かせになることがあるんで、そういう場合は名前が出てこない方が楽な場合もあります。

―なるほど。ボカロ云々の前にひとりのクリエイターってことですかね?

Otomaniaさん: ボクは自分自身のことをボカロPでもクリエイターでもなく、エンターテイナーだと思っているんです。ただ、今までずっと音楽が好きだったし一番の得意分野だと思っているし、その中で今もっとも自分を表現するツールとして最適なのがボーカロイドなんだと思うんです。

―「最適なのがボーカロイド」のところ、詳しく聞いてもいいですか?

Otomaniaさん: そうですね。まずは自分が音のマニアでありたいという気持ちありきですね。何の音かというこだわりは全くないんですが。 好きこそ物の上手なれ理論でいうと、好き = マニア の条件であり、言い換えれば、好きならマニアなんですよ。 で、その中で一番自分が面白いと思うもののひとつがボカロなんですよね。ある程度の入力で歌ってくれるなんて、今はもう当たり前になっちゃってますが画期的なツールですもんね。

―うんうん

Otomaniaさん: アナログであろうがデジタルであろうが、 人を感動させる方法という意味ではどっちもアリだと思うんです。オーケストラでしか味わえない感動があり、シンセだけにしか味わえない感動もある。その中ではボカロってとても面白い立ち位置にあるツールだと思うんですよ。

― ツール?楽器以外の要素も込ってことですか?

Otomaniaさん: ですです。今まで割と生楽器をサンプリングした音源やソフトは結構ありましたが、 自分の中で音楽方面で「使える」と思った音声ソフトはなかったんですよね。人の声ってひとつの楽器だと思うんです。 しかも人間から一番直接的に発せられる音なので、表現の幅がとても広い。 それを完璧までとは言いませんが、かなりリアルに再現できるボカロって表現の幅はとても広い。つまり表現ツールとしてはとても素晴らしいと思うんですよ。ボカロはツールなんで限界があるって言うひとも少なくないですが、生身人間だって個人の限界はあるんですよ。

―そうですね、技術は完璧というか万能という考えは無意識に持ってしまってますね。

Otomaniaさん: 開発する立場の人にはその辺りの限界を次々に突破してもらうことをお願いして、 我々は今ある手持ちの札でやるしかないんだから、不満や要望は言いつつも、その中でいいもの作ればいいじゃないと楽観的に思っているので、 そういった意味では表現の幅が広いボカロは自分にとってうってつけなのと、

―はい

Otomaniaさん: あと、ボクがボカロの操作を得意、というか好きなのは、もともと人の声には敏感に反応する人間みたいなんです。例えば何かのアニメを見た時、「あ、この人あのアニメの人と同じや」とわかったり、普通のTV番組でナレーションが始まった瞬間、「あ、この人○○や」と声優さんじゃなくて俳優さん、アイドルでも大抵わかったりするんです。その辺って、元々声が好きなんだと思うんですよ。
 しかもモノマネとか好きなんですよね。昔うちの母親方がスナックやっていて、小さい頃からそこに連れていかれ、古い歌とか叩きこまれたりしていたら、いつの間にか松山千春やさだまさしなどの歌い方を真似できるようになったりして。

―おぉ!20日、やってください!

Otomaniaさん: www、話を戻して、モノマネという分野がボカロにすごい密接するんです。モノマネって、その人の歌い方や喋り方を真似ることじゃないですか。つまり、その人の歌い方や喋り方を研究し、自分も全く同じ表現ができるようにならなきゃいけない。結果的には自分の中のレパートリーにつながるんですよね。それがボカロの操作、いわゆる調教につながっているんですよ。そういった沢山の要素が絡んで、今日のボクとボカロの関係があるといった感じですねw

―これはちょっと驚きですね。えっと、ほとんどこのインタビューの結論かな?

Otomaniaさん: お?そうなりますか??

―うん、もしまとめで何かあれば是非!

Otomaniaさん: そうですね。じゃあこれだけ言わせてください

―はい!

Otomaniaさん: まず結論から言わせていただくと、みなさんには常に感謝と敬意をもって欲しいです。ボク自身、こうやってボカロでお仕事させてもらったりしてるのも、たまごさんという相方に恵まれ、作品をUPし、反響をくれたユーザーのみんながいて、そんな状況の最中、直接お会いして今後のことを熱く腹を割って話してくださり、はちゅねを公認してくださった佐々木さんならびにクリプトンさんがいて、そこから角川さんやセガさん、ヤマハさんなど色んなメディアの方々からお話をいただいて、 そういった人たちに沢山出会えたことで今の自分がいることを忘れず、その人達に常に感謝と敬意を持ち続けなければいけないとボクは思っています。
 作品を作るという面にもそれは言えることで。誰かの作品がとても良かったのでその作品を流用したパロディ作品を作るにしても、作品をお借りしました。ありがとうございました。という一言を送るような誠意を常に持てば、余程のことがない限り作った側も快く承諾してくれるはずなんですよ。ボクの場合、実際そうやって話が大きくなってきましたし。CGMに携わる人だけではなく、周りの人に感謝と敬意をもっていれば、きっと楽しい輪になると思うんです。
 その気持ちは「みんなの手」にも込められています。

―つなげちゃったw 2つの意味でw いや、でも、すごくありがたいです!

Otomaniaさん: 多分昔から変わってないんだと思いますよ。根の部分がw

―では、ここらで!

Otomaniaさん: はい!ありがとうございました!

―こちらこそありがとうございました!

以前からツイッターを通してお話させていただいておりましたが、ここまで深くお話させていただくのは初めてでした。この続きが気になる方は是非、会場にお越しください。


Otomania: @otomania_net http://www.otomania.net/ 
2月22日生まれ大阪府大阪市出身。
音楽制作から動画作成、デザインもこなすマルチクリエーター。2007年9月、絵師である「たまご」氏との共作「VOCALOID2 初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた」が人気を呼び今日の初音ミクブームの火付け役となる。現在はその動画から誕生した初音ミクのデフォルメキャラ「はちゅねミク」を用いた4コマ漫画「はちゅねミクの日常 ろいぱら!」の原作を担当する傍ら、VOCALOIDのマニピュレータや講座の公演ほか、作曲家やベーシストとしても幅広く活躍中。
代表作は 「Ievan Polkka」(カバー) 「時代」(カバー) 「みんなの手」(オリジナル)



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