デジタルサウンドインタビュー ―倉庫番 第1回―

今回、デジタルサウンドシンポジウムの会場で「浜松市における地域産業の現状~産業集積と地域経済環境~」というポスターセッションをしていただきます倉庫番さんにインタビューさせていただきました。
昨年行なった「ボーカロイドによる浜松まちおこし会議」でも浜松の産業集積とソーシャルキャピタルのお話をしていただきましたこともあり、今回あらためて伺ってみました。


―産業集積とパラダイムシフト―

―このシンポジウムって産業集積とか創造都市ってテーマが裏にあって、なんすかね、なんとなくそこらへん、どうでしょ?

倉庫番さん:基本的には「産業集積」が浜松にはあると思います。

―はい

仲田さん:ですが、問題はその「産業集積」の持つ質がどうなのか?というところなんですよね。今までのような「ものづくり」の技術は大事にしなくちゃならない、だけど、そこから先「一歩踏み出す」ためには何をしなくちゃならないのか?と言う部分ではないのでしょうか。

おぉ、ほぼ結論w

倉庫番さん:既存産業の中にある「手詰まり感」をどう解決していくのか?がこのシンポジウムに求められているのかと思います。

―産業構造の変革とかパラダイムシフトって言われるけど、現実味を帯びて感じられない。つまり、市民にとってはなんのこっちゃわからない

倉庫番さん:現実味、と言うか「生活にどう絡んでくるのか?」って言う提示をしきれてないのでは?と思う部分があります。浜松はやはり何だかんだ言って輸送機や一般機械、そして楽器の「生産」のまちであり、その「生産」で生計を立てている人が本当におおい街です。そんな中で「産業構造の転換」って言うと「雇用問題」に一気に向かってしまう可能性もあるわけです。
 中小企業にしても海外進出を発注元から求められる時代ですし、価格競争では国内企業はやはりどうしても分が悪い。そんな中で「既存のリソースをどう活かすのか?」と言うのが、恐らく「生活に根ざした【産業構造の転換】」になるのかな、と思いますね。

―ライフスタイルの変化って見えづらいものですからね。問題はそこに気づかない。デジタルサウンドについてもとんでもない変化だと思うんです。つまり既存の産業が別のマーケットに移行しなくてはならない。

倉庫番さん:既存のシステムの中で生活ができればそれでいい、だけど、世界的に色んなものが加速度的に変わってきている。そんな中で「新しい方向性」を既存のものに付加するって言うのが重要なものだと思うのです。例えば、エコと言う観点からガソリンで走っていた原付を電気で走るようにするとかがその例だと思うのです。既存の技術にその時代の要請を付け加えていくと言うものなんですよね。
 ところが、実際浜松の地域産業史を見るとそれが行われているのが凄いところなんです。

―おお、これは興味深い!ちょっと詳しくお願いします!

倉庫番さん:浜松は元々天竜川中流部で算出される天竜杉を使った製材業と言う産業がありました。そして、三方原台地の水利に乏しい中で綿織物の生産が盛んになりました。綿は水が少なくても生産できますからね。

―ちなみに浜松産の綿織物はヨーロッパの織物産業ではブランド化しているそうです。

倉庫番さん:で、その綿織物の生産量を上げるために、製材業から木工品の加工に発達し、織機ができてきたんです。で、それが更に生産量を上げるために自動織機に発達したんですよね。これが・・・とある有名な企業の前身になりましたからね。更に言えば、あの第二次世界大戦も浜松の産業には必要だったんです。

―大戦直後の浜松の人口増加は異常ですからね。

倉庫番さん:元々飛行機のプロペラは木製でしたが、そのプロペラを金属でできないか?と言う話になって金属加工が盛んになったってのもありますからね。

―しかし、それってその時代に限った話じゃないでしょうか?

倉庫番さん:ところが、この「時代の要請」って言うのは色んな場面でひょっこり顔を出してきて、その「時代の要請」に対応してしまうんですよ。いろんなブレイクスルーがあちこちに出てきます。
日本初のテレビの話、あれもどうやら浜松だからできた、って言うのもありますし。

―そうなんですか?

倉庫番さん:テレビは高柳さんと言う方が当時の浜松工業学校に赴任してきていの一番に「テレビの研究をしたい」って学校に言ったんですよね。で、学校は「そんな馬鹿な事できるか!」と言いながらも当時の500円を研究費用として出したって言う話もありますからね。

―ほー!でもそれは浜松の産業の発生においては大きいですね。地元金融機関などが支援した、いわゆるやらまいか精神

倉庫番さん:そこの「自由闊達さを大事にする」って言う空気が、実は浜松の産業形成にはすごく大事な部分なんですよ。

(第2回 「―ソーシャルキャピタルと場の変化―」に続きます)


倉庫番 ( twitter: @warehouse_mgr) webページ:http://d.hatena.ne.jp/warehouse_mgr/

静岡市清水区在住。
中小企業支援機関勤務の中小企業診断士として静岡県内中小企業の経営支援を本業としている。また、webページ「静岡の高速バス倉庫(http://homepage2.nifty.com/warehouse_mgr/ )」の管理人としても活動しており、日本国内の各所を巡りながら、それぞれの地域が抱える問題に対しての考察も行なっている。関心領域は「地域資源を活用した地域活性化」と「都市間中量交通機関を活用した地域活性化」。

好きな曲調は四つ打ちのポップサウンド。特にニコ動の「ミクノポップ」タグの曲がお気に入り。



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